「無予告調査」について

こんにちは。堀 龍市 税理士事務所の栗下です。

今日は税務調査の中の「無予告調査」についてお話したいと思います。


この税務調査シリーズの一番最初に「一般の税務調査の場合は事前に連絡が来る」
とお伝えしましたが、実は中にはいきなり調査官が会社などにやってくることが
あり、これを「無予告調査」といいます。

国税庁の発表では、法人の約10%、個人事業主の約20%で無予告調査が
行われていますが、これが結構やっかいで、この時の対応方法を知らないと、
いきなり税務調査が始まってしまう可能性が非常に高くなってしまいます。

では、無予告調査の正しい対応方法はどうすればいいでしょう…

まず、突然来られても、税務調査の準備はもちろん、仕事の調整も出来ていない
わけですから、困ってしまう方がほとんどでしょう。

なので、こちらの感覚ではまたにして欲しいと思うのが普通だと思うのですが、
税務署側からみれば、抜き打ちで入りたいわけです。

そんな時、調査官が使う常套手段として、玄関先で「入っていいですか?」と
聞いてきます。

これは一見、「立ち話もなんなので、とりあえず中に入って良いですか?」のように
聞こえるため、社長のみならず、対応した社員でもつい「どうぞ」と
言ってしまいがちですが、これは実は「税務調査を始めても良いですか?」
という意味で、許可すると、税務調査が始まってしまいます。

税務調査官は、社員等が「どうぞ」と言わない限り調査に入れないことを
法律上知っているので、そうやってカマをかけてくるのです。

なので社長はもちろん、受付の方など、来客に一番最初に対応する可能性の
ある社員さんには、その事をちゃんと伝えておきましょう。

そうやって、「入って良いですか?」と聞かれた時には、「少しお待ち下さい」
とだけ言って、会社の外で待たせたまま、すぐに税理士に連絡してください。

いきなり来ているのですから、遠慮する必要はありません。

待たせる時の注意点としては、決して「調査は受けられません」と言って
しまってはいけません。

だからと言ってその日に調査を受ける必要はもちろんありませんので、
正しい対処法としては、こちらから別の日程を決めてしまうことです。

なので、「今日は予定があるので別の日にしてください。来週の○日だったら
構いませんよ」と、具体的な日程をこちらから決めてしまいましょう。

単に「調査は受けられません」と言っても、向こうも仕事ですのですんなり
引き下がりませんが、日程さえ決まれば、調査官が今すぐ税務調査をしなければ
ならない理由はなくなるので帰っていきます。

税理士に電話で連絡がついた場合は、(そのことを理解している税理士であれば)
代わりに交渉してもらうのも良いでしょう。

ただし、今日お話した内容は、あくまで税務署の調査官が行う税務調査に
ついてで、映画マルサの女などでおなじみの国税局査察部が行う強制調査は
全くの別物です。

税務署の調査官が行う無予告調査は、あくまで国税通則法に定められている
「質問検査権」という権限に基づく調査ですが、国税局査察部が行う査察は、
国税犯則取締法という法律に基づいて裁判所から令状を取って行われます。

朝いきなり国税が訪ねてくることからイメージ的には同じように捉えてしまう方も
多いかもしれませんが、これらは全くの別物であることも知っておいてくださいね。
(対処法も全く異なります。)

 

ソフィア・アセットマネジメントクラブ(スタンダード)

栗下尚紀の投資家税務より

 

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