FXの損失を繰り越す時に注意すべきポイント

こんにちは。堀 龍市 税理士事務所の栗下です。
 
 
個人でFX取引をしていて損失を出してしまった…そんな時は、確定申告を
して損失を繰り越せばいいと思っている方も多いのではないでしょうか。
 
 
しかし、FX取引の損失は無条件に繰り越すことが出来るわけではなく、
税法上の条件を満たさなければ、その損失を繰り越すことはできません。
 
 
今回は、FXの損失を繰り越す時に注意すべきポイントについて、見ていきたいと
思います。

 
 
平成23年6月の税制改正により、平成24年1月1日以後に個人が行う
FX取引については、従来の総合課税ではなく、申告分離課税の対象となる
ことになっています。
 
 
これは、先物取引の雑所得等の課税の特例について定めた、租税特別措置法
第41条の14で規定されています。
 
 
条文そのものは非常に長文で複雑ですのであえて割愛しますが、
そこには「居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が金融先物取引等の
取得をし、かつ、その差金等決済をした場合には、申告分離課税が行われる」
旨が定められています。
 
 
つまり、個人が行うFXの取引が申告分離課税の対象となったことにより、
その損失については3年間の繰越控除ができるようになったのです。
 
(なお、損失の繰越控除については、租税特別措置法第41条の15で定められています。)
 
 
ただし、個人が行う全てのFX取引が申告分離課税の対象となるわけではありません。
 
 
申告分離課税の適用を定めた租税特別措置法では、その対象範囲として、
 
「金融商品取引法に規定する金融商品取引業者(第一種金融商品取引業者に限る)
又は登録金融機関を相手方として行う取引に限る」
 
として、無登録業者との取引を対象外としているのです。
 
 
したがって、金融商品取引法の無登録業者が手掛けるFX取引による
損失については、翌年以降に繰り越すこともできません。
 
 
つまり、損失を繰り越すための1つ目のポイントは、金融庁の登録業者を利用した
取引であること(主に国内業者が多い)ということになります。
 
 
以前、FXの税率の話のときに、金融庁に登録された業者かどうか重要である
ことをお伝えしましたが、損失を繰り越す際にもここは重要なポイントに
なります。
 
 
ちなみに、利用している海外業者が金融庁に登録されているかどうかは、
下記、金融庁のホームページで確認することができます。
 
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html
 
 
では、金融商品取引法の登録業者を利用したFX取引の損失であれば、
無条件に損失の繰り越しが出来るかというと、これもまたそうではありません。
 
 
損失の繰り越しについて定めた租税特別措置法第では、同時にその適用を
受けるための条件が規定されています。
 
 
損失の繰越控除を受けるための要件を規定した租税特別措置法第41条の15
第3項の内容をまとめると、
 
1.先物取引の差金等決済に係る損失の金額が生じた年分の所得税につき、
 一定の明細書等の添付がある確定申告書を提出すること
 
2.連続して1.の確定申告書を提出すること
 
3.繰越控除を受けようとする年分の所得税につき、1.の確定申告書を提出すること
 
の3つの要件すべてを満たす必要があるとされています。
 
 
この条件、「一体何が言いたいの?」なんて、思ったりしませんか?
 
 
でも、この条件は意外と重要で、この条件を守らなかったために損失の繰り越しが
認められなかった事例が実際にあるのです。
 
 
それでは次回、実際にあった事例を紹介しながら、2つ目の重要なポイント
について説明したいと思いますので、みなさん、楽しみにしていてくださいね。

 

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