投資の世界ではよく、「リスク分散」という言葉が使われます。
1つだけの投資対象に投資して、それがだめになったらリスクが高いので、
いくつもの投資対象に資金を分散することで、リスクを緩和するという考え方です。
あるいは、1つの銀行だけに預けておくのはリスクが高いので、
複数の銀行に資金を分散しておく、という考え方。
1つの取引先だけだと、その取引先が契約打ち切りを通告してきたら致命的なので、
他の取引先とも取引関係を構築するという考え方。
また、アラブ諸国だけから原油を輸入していると、
国益が地政学的リスクに左右されるから、
ロシアや米国からも天然ガスを輸入するという考え方。
たしかに理にかなっているように感じられますね。
しかし、どうも腑に落ちない…という方はいませんか?
この考え方を普遍化していけば、
一人の妻(夫)だけだとリスクが高いから複数の人と関係をもとう。
今のビジネスパートナーと関係が悪くなってもいいように、
他の人と二股をかけておこう。
そんな考え方になってしまいます。(飛躍のしすぎかもしれませんが)
危機管理における分散は、たしかに大事なことです。
しかし、「分散せざるを得ない場合に分散する」のが基本です。
貿易では、各国の国益は対立していますから、
独立国であるなら分散するのは当然です。
エネルギー、農産物、安全保障など、一国に頼るのはリスクが高すぎます。
しかし、投資対象のどれか一つがつぶれても大丈夫なように、
たくさんの対象に投資しておく・・・という考え方は、安易に過ぎます。
2つに分散して、2分の1を失うことになってもいいでしょうか?
3つに分散して、3分の1を失うことになってもいいでしょうか?
4つに分散して、4分の1を失うことになってもいいでしょうか?
100に分散して、1%を失うのなら許容できるかもしれません。
結局のところ、少数(数ヶ所)の対象に分散というのは、
どんなことがあっても最低でも生き残るため(死なないため)、
「最悪を免れる」以上の意味はないのです。
本当に分散の恩恵を受けようと思ったら、数十から数百の対象に分散し、
確率論でリスクを減らしていく(これが「保険」の考え方ですよ)しかないのです。
AもBもリスクが高いと感じるから、CにもBにも投資する。
おかしいですよね?
私なら、信頼できる対象を精査して、
そこに全部資金を入れるほうがリスクが低いと感じます。
私は資産を、現預金、不動産、仮想通貨、外国為替、株式、保険、その他に分散しています。
どれかがリスクが高くて不安だから分散しているのではありません。
資産を増やし守るため、そして利便性、将来性、
さまざまな要素を加味してアセットアロケーションを考えています。
時代によって、比率は変わるでしょうし、
人生設計や、年代(年齢)によっても、変わってくるでしょう。
相続を考えるなら、相続を考える人のアセットアロケーションがあります。
それはあくまで便宜性のため。
リスクが高くて不安だったならば、分散などせず、
何もしないで置いておくのが一番です。
奥さんや旦那さんも分散しないのが一番です(笑)。
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