しっかりと節税対策

こんにちは。堀 龍市 税理士事務所の栗下です。

投資が軌道に乗って利益が出るようになると、節税のために法人で
投資をするということに興味を持たれる方は多いと思います。

しかしながら、過去の相談事例では、節税に有利という情報を聞いて
法人で投資を開始しても、あまり節税の効果を実感できず、
結局は個人での投資でも良かったかなと感じられる方も少なからずおられます。


税金面において、必ずしも全ての方にとって法人での投資が有利とは
申しませんが、このような場合、ほとんどは法人で投資をしている
というだけで、しっかりと節税対策をしていないパターンが多いように
感じます。

確かに、個人の税率と法人の税率には差がありますので、ただ単に
法人で投資をするだけで税金が少なくなるといったケースもあります。

具体的には、個人で投資を行った場合、株やFX(国内証券会社)、
先物取引などでの税率は一律20.315%、仮想通貨やFX(海外証券会社)など
での税率は所得金額により15%~55%となっており、一方、法人で
投資を行った場合の税率は、所得金額により21.4%~33.6%となっています。

税率だけで比較をすると、株やFX(国内証券会社)などは個人で行った方が
有利、仮想通貨などは所得金額が330万円まで(税率が20%までの範囲)なら
個人が有利、それ以上は法人が有利という判断になるわけですが、
法人で投資を行うことのメリットは、個人ではできない法人ならではの
節税対策ができることにあります。

一例として、FXで300万円の利益を上げた場合、何も節税対策をしないと、

個人:300万円×20.315%=約60.9万円
法人:300万円×21.4%=約64.2万円

と、法人の方が税金が高くなってしまいます。

ここで、法人での節税対策として奥様に年間100万円のお給料を支払った
としましょう。

この金額の場合、奥様が専業主婦(無収入)であればお給料をもらった
奥様自身に税金はかかりませんので、法人の経費が100万円増えて、
税金のかかる金額が200万円になることになります。

そうすると法人の税金は、

(300万円-100万円)×21.4%=約42.8万円

となり、個人よりも税金が下がりました。

ここでは、単純に100万円お給料を支給しただけですが、実際には
投資家の方の状況にあわせて、更にしっかりと節税対策を積み重ねることに
なります。

このように法人での投資のメリットは、法人ならではの節税対策により、
税率を掛ける所得額をコントロールできることにあります。

たまたま、%(パーセント)という同じ単位のため税率だけを比較しがちですが、
所得税と法人税では税金を計算するルールが全く異なるため、
税率だけで単純に比較することはできません。

みなさんも、野球の2点とサッカーの3点ってどちらがすごいの?って
聞かれたら困りませんか?

私達の場合、個人と法人で投資を行った場合の税額比較シミュレーションをし、
どういった節税対策をした場合にどのぐらいの効果が見込めるかをお出し
した上で相談に乗らせていただくのですが、みなさんご自身で検討される際も、
ただ単に法人で投資をすれば節税になるわけでは全くなく、場合によっては
個人での投資に比べ、かえって不利になってしまうこともあるということを
知っておく必要があるでしょう。

 

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栗下尚紀の投資家税務より

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