コインチェック事件後も、仮想通貨関連でなかなか騒然としていますね。
仮想通貨の投機性に焦点があてられたり、
取引システムのセキュリティの不備がやり玉に挙げられたりと、
仮想通貨を推進したい人々は忍耐を強いられていると思います。
もちろん悪いものは是正される必要があり、
正常でないものは修正される必要があります。
中央銀行や銀行が仮想通貨を発行するという話もよく耳にするようになったのではないでしょうか。
銀行なら安心だ、中央銀行なら安心だと多くの人は思うでしょう。
しかし、中央銀行による仮想通貨発行に対して、多くの人があまりにも無防備です。
以下、日本経済新聞社刊「デジタルゴールド」からの引用です。
「長いあいだ現金は、匿名性のある支払い手段となってきたが、これをデジタルに移行させることはできない。デジタルになったとたん、銀行などの第三者が必ず関与し、取引を追跡できてしまう」(p31)。
これはビットコイン開発に関わった人物が、2009年の時点で発言していた内容です。
現金には匿名性があった。
しかし現金をデジタル化したら(つまり中央銀行の貨幣をデジタル化したら)、
プライバシーがまったくなくなってしまう。
…ということです。
AmazonやTポイントカードにビックデータを抜かれるどころの話ではありません。
誰と、誰に、誰から、何を、いくら、どのような形で、いつ、何のために、誰を経由して、どこで、どこから移動して、お金をつかったかすべてが丸裸にされるのです。
「匿名性」と聞くと、あたかも悪いことのように連想する人が多いことを危惧します。
匿名性=マネーロンダリングではないし、
匿名性=犯罪ではないのです。
正しくは、匿名性=プライバシーです。
匿名性が犯罪に即結びつくような印象操作が行われているように感じます。
私たちには、犯罪でない限りは、誰と会ったか、何を買ったか、誰にお金を渡したかを隠す権利があります。
国益や他人の権利や利益を侵害・棄損しない限り、家族や友人との通信(文書・話す内容)を誰にも知られない権利があります。
そして、脱税しない限りは、資産を隠す権利があります。
(収入は納税システム上難しいですが)
これは、プライバシーの問題です。
すべてが透明になるようにしたほうがいい!と声高に叫んでいる人たちは、
自分の身には何も起こらないと思っているのでしょう。
被害に遭われた方には気の毒ですが、
国家権力が通貨をすべてデジタル化することに比べれば、
コインチェック事件など小さなことです。
銀行も同じだと私は思っています。
なぜなら銀行は規制により国家に縛られており、
国家のご機嫌を損ねたら営業できなくなる以上、
国家寄りの立場をとらざるを得ないのですから。
私も銀行との取引で何度もそんな経験をしました。
—————————————————–
こちらもあわせてどうぞ。
・「仮想通貨投資ガイドブック(基礎編)2018